刑訴 違法性の承継(毒樹の果実論)
【問題】違法な任意同行があり、その後に任意に尿が提出された。提出された尿より覚醒剤検出されたとする鑑定書を得た。その鑑定書を基にして捜索差押が行われ、覚せい剤が発見された。覚醒剤の証拠能力について述べよ。
【答案構成】
1.鑑定書について証拠となるか。違法性の承継が問題。
(1)適性手続きたる後行行為で得られた証拠であっても、違法となる先行手続と後行手続とが密接関連性(同一目的、直接利用関係)を有する場合、違法収集証拠排除法則の精神を没却させないため、証拠採用されるべきではない。
そこで、①先行手続きと後行手続きとが密接関連性があり、②後行手続きに令状主義の精神を没却するような重大な違法があり(違法の重大性)、今後の違法捜査抑制の見地から相当と認められる場合には(排除相当性)後行手続きで得られた証拠は排除される。
(2) あてはめ
(3) 結論
2 鑑定書を基とした捜索差押令状による覚せい剤の証拠能力がみとめられるか。(毒樹の果実論で判断)
(1) 前述同様、令状主義の精神を没却するおそれがある。そこで、第一次証拠について重大な違法があるか、第一次証拠との関連性が認められるか、第二次証拠の重大性などを総合的に判断し、排除されるかどうかを判断。
(2) あてはめ
(3) 結論
憲法答案作成のお作法
早稲田法科大学院(早稲田ロー)入試 試験問題の感想(刑法)
早稲田法科大学院(早稲田ロー)について、入試問題の感想から。
刑法の問題が特におもしろかったですね。
第1問
DV内縁夫が連れ子に暴力を振るおうとしていると勘違いした内縁妻が、包丁で夫を下がらせようとして誤って夫を刺してしまった。夫を放置すれば失血死するであろうことを認識しながら妻はそのまま夫を放置して外出。偶々アパートを訪れた被害者の母親もDV受けていたことを理由に夫を放置。妻と母親の罪責を問う。
第2問
不動産の二重売買に置ける横領罪について述べよ。という一行問題。
第1問については、問題をパッと見た時に、第一行為(夫を脅そうとした=刺した行為)と第二行為(負傷した夫を放置した行為)について、第二行為を介在事情とする「ウエーバーの概括的故意」の現代的書き方で書くのかなと思いました。しかし、夫は失血死しているのですから第一行為の有する危険性が死へと現実化したことは明らかですから、因果関係の問題ではないなと。
そこで、第一行為については暴行の故意がありつつも、誤想防衛による故意責任の欠如から傷害致死罪という結果的加重犯への責任を問うことはできないとし、第二行為に不作為の殺人罪成立としました。
母親については、例の十中八九判例から因果関係が否定されるとして無罪。
第2問については、売主の横領罪の成立と、買主(第二譲受人)の共犯成立の条件について書いています。
実は入試直前の休み時間中に、パラパラと辰巳の「趣旨規範ハンドブック」を見てて、二重売買における横領罪の成立と、第二譲受人の共犯成立の条件としての背信的悪意性について読んでいたのです。お蔭様で迷いなく書ききりました。
刑法の問題は時間を気にしながら、途中から速度を上げてギリギリ書ききったという状態でした。